(10月30日付・読売社説)
日本の航空輸送の6割を担う日航が経営破綻(はたん)すれば、国民生活や経済活動にも大きな影響が出る。
公的資金を含めた国の支援はやむを得ないだろう。
だが、日航はこれまで何回も国の支援を受けながら、親方日の丸的な甘い体質から脱却できなかった。
二度とこうした事態を招かないよう、抜本的な経営改革に取り組まなければならない。
日航の再建策作りに取り組んできた国交省の特命チームは、7000億円を超す金融支援と、抜本的なリストラを進めることで、再建は可能と判断している。
このため日航は今後、9000人の人員削減や、内外45路線の廃止・減便、ホテルを運営する子会社の売却などを進める方針だ。
3300億円の積み立て不足がある企業年金の削減も、再建に向けた大きな課題となる。
日航に公的資金が投入されれば、その一部は年金支給の原資にも回る。
これでは、国民はとても納得しないだろう。
政府は強制的に年金を削減する措置も検討しているが、それを待たず、労働組合やOBは削減に応じるべきだ。
日航には、八つの労組がある。
複雑な労使関係が経営改革の足かせになっているのは明らかだ。
この際、労組の整理・統合に踏み切る必要がある。
現経営陣の刷新も避けられまい。 (抜粋)
画像 ボーイング 747-8